第14章 blooming
『じゃあ次は天ぷらの衣を作ってもらおうかな』
卵、冷たい水、小麦粉、片栗粉。
なんで冷たい水?って聞くと穂波は嬉しそうに理由を話した。
『授業だけ聞いてると化学なんて、生活に関わりなさそうに思えるけど
こうやって料理とかしてるといろんな知恵は化学だらけでびっくりする。わくわくする』
そんなことを言ってた。確かに。
感覚的なのに、こういうとこもあって穂波はやっぱりおもしろい。
そんなことを喋りながら
穂波はあさりを洗ったり せいろを鍋に乗せたり
机に皿を並べたり、手も足も動かし続けてる。
穂波が天ぷらを揚げ始める。
こういうの、もう当たり前に思っちゃってるけど
全然当たり前じゃないよね。
高校生の彼女と一緒にいて、こんなご飯食べれるなんて。
どこをどう切り取ってみても、穂波のこと好きだな。
『研磨くん、スナップえんどうとアスパラをせいろに入れてもらっていい?
それからそこの鍋にネギを敷いてあさりを乗せて、お酒降って…』
わ。ほんとにご飯炊けたらいっぱいやることあるんだ。
いきなりいろいろ言われたし…
『…ふふ。考え事してたでしょ。ゲームのこと?』
「…うん、まぁ、そんなとこ」
穂波のことだけど。ゲームみたいにおもしろいこと。
ラストスパートみたいに
最後にばーっといろいろやって完成した。
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