第4章 矢印
ー穂波sideー
授業なんて放ったらかして
あのまま研磨くんと何処かへ行きたい気分だったけど、
研磨くんには部活があるし、派手に授業をサボったりなんてしちゃいけないと思って
大人しく教室に帰った。
教室へ入ると、みんなニヤニヤした顔でこっちをみていて、
さすがにちょっと恥ずかしくなった。
高木先生は、してやったり、という表情をして、
怒ってはいなかった。
「高木先生〜!
先生達も、寝てるのわかってて掃除の時間も放っておいたんでしょう?」
「そうだそうだ。6組の生徒だったらどういう風に起してやろうかとずっと考えていた」
ニヤニヤとそう言って、
通常の授業に戻った。
起こさなかったのは他の生徒も先生もだから、
わたしたちに特別なお咎めはないみたい。
…よかった。
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放課後。
『研磨くん、今日なんかあんなことになっちゃってごめんね』
「…別に。おれも寝てたし。
けどさ、あそこでキスは、ちょっと」
『…だよね、ごめん。衝動で、つい』
「……いや、別にやめてほしいって言ってるんじゃなくて…
予測不可能でびっくりしただけ。でも、別に嫌じゃないから、気にしないで」
『…うん。ありがとう』
「研磨ぁー、と穂波ちゃん。行くぞー」
「…うん。 穂波も外まで一緒に行こう」
『…うん、行こう』
(…! さんがなくなってる…!またも突然のこの感じっ)