第4章 矢印
ー研磨sideー
昼休み、木の陰に座って昼ごはんを食べて、
夏休みのこととか話した。
いつものようにゲームをしていて、ふと隣を見ると、
穂波さんは木にもたれて眠ってた。
「…かわいい」
昼休みが終わるまでそっとしとこうって思ってそのままゲームをしてたんだ。
いつの間にかおれも寝ていたみたいで、
「1年6組 孤爪研磨ぁぁぁーー!! 運天穂波ーー!!
いつまでも仲良く昼寝してんじゃねーーーーぞぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!
中庭に反響する高木先生の大声で目が覚めた。
(……、あれもう昼休み終わってるのか)
二階の方から
もう五限始まってるぞー!という声がした。
俺の肩で寝ていた穂波さんも少し遅れて目が覚めたようで、
寝起きざまに………キスをしてきた。
『五限、始まってるって言ってた…?』
「…うん。ていうかいま」
『寝て起きたら研磨くんの顔がすぐ側にあったから、口付けずにはいられなかった』
そんなことを言いながら
穂波さんは立ち上がって伸びをする。
「………」
『五限、数学…?あの声は高木先生か〜 ふふっ』
なんでこんな状況でもこんないつも通りなんだろ。
おもしろい子…
おれも立ち上がって伸びをする。
『研磨くん、行こっか』
「…うん、行こ」
穂波さんは、本当に読めない、な…
でも、…疲れない。嫌じゃない。
…不思議だ。
「研磨ぁ!」
「!」
二階からクロの声がする。
「ごちそうさまぁ〜」