第14章 blooming
ー穂波sideー
音駒高校には特に想いがあって入学したわけではなくて、
通ってる3つのダンススタジオにちょうどいい距離なこととか、
そういう、学校外でやりたいこと。に重きを置いて選んだ。
中学にのときも、学校の外でしている
ダンスやサーフィン、その繋がりでのイベントや撮影、
そういうことが自分の生活の中で大きかったから、
高校を卒業したら海外の大学に行くって当たり前に思ってた。
でもこうして研磨くんに出会って、
同級生の彼氏ができて、
ってなると、他の選択肢も知らず知らずの内に考えてる自分がいたりして。
離れてても大丈夫な関係がいいなって思うけど、
その単位が1年、2年…となると思うとやっぱり考えてしまう。
「…何も心配してないから。ただ聞いただけ。
まぁ、そんなすぐじゃないし。 …おれもちゃんと話すね」
…あぁ、研磨くんの言葉はやっぱり魔法だ。
『…うん、そだね。研磨くん、ありがとう』
「オーストラリアは一箇所だけ?アキくん三箇所回るって言ってたけど」
『もうゴールドコーストで初まってて、だからわたしもゴールドコーストで合流する。
で、すぐにビクトリア州のベルズビーチに行く。どっちも東側。
西側も行ってみたいんだけど、学校始まっちゃうから。
オーストラリアのカルチャーすごくいいから、ほんと楽しみなんダ』
「…へぇ」
『ベルズビーチの波は大きいんだよー 6フィート、180cmくらいの波が普通なんだよ。
4、5mの波も起きるだろうし… わくわくとどきどきと』
「…4、5m」
『…ね。でもビッグウェーブって大きーい波を乗る人たちはさ、
20mとかの波にチャレンジするんだよ。もう意味わかんないよね。
でもすごくかっこいいし、そこから見る世界はどんな世界なんだろう…って思うとふわふわする』
「………もはやファンタジーの世界」
『そう!ほんとそれだよね。 リアルの先にあるファンタジーというか』
「……(ワクワク」
…あ、いま研磨くんわくわくした顔してる。
かわいい顔。
さりげなく、違う話題を振ってくれたのは、
意図したものなのかはわからないけど
卒業後のことを考えて少しぐるぐるしてた頭の中は気がつくと落ち着いてた。