第14章 blooming
ー穂波sideー
3月も半ば。
24日から春休み。
春休みはレッスンをお休みさせてもらって
オーストラリアにお兄ちゃんの大会を観に行く。
ほんとは西側に行ってみたかったけど、
西側は春休み終わってからの日程だから東側に滞在。
南半球ってそれだけでわくわくがとまらない
春から秋にワープするなんて
今からすごくすっごく楽しみ
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水曜日、まだ風も冷たいけど、
日差しはずいぶん春めいてきて、
久しぶりに中庭で日向ぼっこしてる。
ブランケットは持ってきてるけど…
「はい、穂波」
お弁当を食べたあとに
研磨くんが手をグーにして差し出してくる
握ってる何かをくれるときの動作だ
『…?』
手のひらを上に向けて広げると
研磨くんの手が開かれころころと何かが転がる
いちごみるく、れもんみるく、ぶどうみるく
三角のかわいらしい包みの飴が三種類。
『…ふふ。こんなにいいの?ありがとう。 …これ懐かしい』
ぶどうみるくの包みを開けて口にいれる
「穂波、土曜日空いてる?」
『? うん、レッスンの後あいてるよ』
「おれも午前中で終わりだから一緒に帰ろ。春休み入ったらすぐオーストラリアなんでしょ」
『うん。 …あ、実は一昨日からもうお母さん達はオーストラリアに行ってるの。
お店はバイトさんに任せてて。
お兄ちゃんの撮影と仕事とまぁ普通に遊びと
…そんなわけなんだけど、もし良ければ…その…』
「…え。なんで言わないの」
『…なんだか、恥ずかしくなってしまって』
前、お母さんたちが福岡に行ったときもそうだった
「いま親がいないからうち来ない?」 って、考えだすとちょっと恥ずかしくなる
…いつもそんなこと考えてるわけでも
そう言う意味で誘うわけでもないんだけど
それでも考えちゃったりして ヘンタイかな…
「…何を考えたの?」
『………』
「…何かおれとしたいことがある?」
『………うぅ』
「…ふ 笑」
『………』
「…うん、泊まってく。 …期待に応えれるかはわかんないけど」
『!』
俯いてた顔を思わずあげて研磨くんを見ると
いじわるな顔で笑ってる
…無理