第13章 16
「…穂波」
身体をぴっとりとくっつけたまま
愛おしい声がわたしの名前を呼ぶ
目を開けると
綺麗な目でこっちを見つめられてる
唇が重なる
優しくて 甘い キス
「もう、過ぎてるよね。 …でも最後。 誕生日おめでと」
『…うん、素敵な時間をありがとう。 研磨くん大好き。大好き』
「…ん」
研磨くんは身体を離して、
隣にころんと寝転がると肘をついてこっちを見てる
いつもは力尽きたーって感じで
横になるとすぐ寝ちゃうんだけどな
十分愛を受け取ってるから
それもわたしには愛おしく感じるし、
何よりわたしも研磨くんにくっついてこてんと寝ちゃうんだけど
『…寝ないの?』
「…寝るけど」
『………』
「…綺麗だなぁと思って」
『 ! 』
空いてる方の手でネックレスを撫でながら、
でも目はしっかりわたしのことを見て、そんなことを言う
「…おれは穂波のだよ。 …とりこってやつ。 …生け捕り」
『…笑 生け捕り』
「うん、生け捕り」
『離れてても くっついてても とりこ』
「…ん」
『…生け捕り』
「…ふ 笑」
そっとキスを唇に落としてから
こてんと頭をおろした研磨くんの身体に身を寄せる。
「…おやすみ、穂波。」
『…ん。おやすみ、研磨くん』
大好き。