第13章 16
ー研磨sideー
部屋から戻ってきた穂波の目は真っ赤で、
そのあとも話してたらまた泣いてたけど、
アトリエでおんぶされてた赤ちゃんの話になったら
すーっと涙は収まったようだった。
『…3年前に朔さんのアトリエがオープンした時から、これ、身に付けたいって思ってたの。
シンプルな普遍的なデザインだから、いろーんなお店にあるといえばあるんだけど、
やっぱり朔さんのがいい。ってずっと思ってたの。
だから、本当にいきなり大波につつまれたみたいな。
どどどってきて包み込まれた感じ』
んー最後の方よくわかんないな…
でも、あげたいと思ったものが
ずっと欲しかったものだったとか、そんなことってあるんだ
『研磨くん、ありがとう。大事にするね。本当に嬉しい』
ほら、また。
花が開いた。
吸い込まれそうなほど、綺麗な笑顔。
「…ん」
顎に手を添えて口付ける。
柔らかい唇。
「…何観るか決まった?」
『ううん、何がいいかな。研磨くんもう帰る?』
「短いのでしょ、いいよ観てく」
『うれし。何がいいかなぁ〜 ハリーポッター観たい』
「…いいね、いいけど、全然短くない」
『もうこのまま朝まで一緒にいたいよう』
…かわいい
駄々こねてるみたい
でも明日部活だし、荷物持ってきてないし。