第13章 16
「なに?」
『朔さんのアトリエ、行ったことあったの?』
「…あぁ。 ううん、初めて行った。 すごくいいとこだね」
『うん、すごくいいところ。ドライブか何か?』
「…うん、まぁ。 アキくんと」
『え?』
「…ネックレス、穂波の首元にあったらいいなって思ってて、
でもどこにいいのがあるかわかんないからアキくんに聞いた。
最初ツトムくんに聞いたんだけど、アキくんに聞いてみろって…」
『…そうなんだ』
研磨くんが、探し物を見つけるために
ツトムくんに聞いて、それからお兄ちゃんに聞いた。
クリスマスのお花もそうだったけど、
もうそれだけ、探そうとしてるアクション一つを想像するだけで
すごく、嬉しい。
「…あ」
『もう無視して』
どうやったってこの緩い涙腺は止められない
「…ふ 笑」
『あ、陽くん。陽くんも居た?』
「ハルくん… あ、赤ちゃん? うん、おんぶされてた」
『おんぶ! おんぶかぁ…そっかぁそうだよねぇ』
8月に朔さんのお家に赤ちゃんが生まれて、
9月、まだ新生児のうちに顔を見にいった。
ふにゃふにゃしてて、しわしわで、顔を真っ赤にして泣いてた赤ちゃん。
首もふーにゃふにゃだったのに。
おんぶされてるなんて。 ほんとにあっという間なんだなぁ