第4章 矢印
ー穂波sideー
七月に入って初めてのサーフィンに行ってきた。
やっぱり、海は最高。
昨日あれから、何度も思い出した。
研磨くんとのキスは、優しくって、
触れてるだけで、胸がきゅうとなって、
たまらなく気持ちよかった。
キスをする前、教室には2人だけで、
なんだかきらきらと、とろーりとした空気が流れていて、
隣には研磨くんがいて。
わたしはボーッとしてた。
部活前のすこしの時間が尊くて、離れ難くって。
思い出すだけで身体がとろけそうになる。
研磨くんは、ほわほわする。って言ってたな。
ほわほわ。 ふふ。
すこし遅めに学校に着くと、
部室から校舎に移動してる研磨くんたちがいた。
研磨くんはこちらに気付くと、足を止め、待ってくれた。
駆け足で研磨くんの方へいく。
『研磨くん、おはよう。朝練お疲れ様』
「…ん。おはよう」
校舎の方に歩き出すとバレー部の人が1人、こちらに向かって走ってきた。
「おはよう!おれ、2年の夜久衛輔。研磨の彼女?」
(黙って見守ってたって、絶対に紹介も相談もしてこないからな!こっちから行ってやる!)
「…うん」
『運天穂波です。朝練お疲れ様です♪』
「おー、ありがとう!いやぁ研磨に彼女がねぇ。
研磨人見知りほんっとすごくって………」
それから、バレー部のみんなが挨拶してくれて、
研磨くんの周りにいる人たちを、少し知ることができた。
夏休みの間にある合宿のことや春高バレー東京都予選というものも知った。
『…あぁ、すっごく幸せだなぁ。研磨くん、ありがとう。』
「…ん」