第11章 暁
土曜。
午前中で終わりの部活が終わると、
携帯にアキくんから電話が入ってた。
かけ直すともう、正門の近くにいるらしい。
「クロ、おれきょうちょっと用事あるから、先帰るね」
さっと着替えを済ませて部室を出る。
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「あ、いた」
助手席に乗り込む。
アキ「お疲れ〜」
研磨「…ん」
アキ「まだ腹大丈夫?大丈夫なら行きたいところあるんだけど」
研磨「あ、うん」
アキ「いや、大丈夫じゃねぇよな、部活後だわな」
ほい、と容器を2つ渡される
アキ「穂波が作った非常食」
一つは前、部室にもってきてくれたおいしい丸いやつ
前と味が違うけど、そもそもこれがなんなのかわかんないから
なにがどう違うのかわからない
もう一つはクラッカーだった。
しょっぱくておいしい。
アキ「…穂波が作るもんうまいよな。あ、てか眠かったら寝ていいからね」
研磨「…ん」
まだ眠くないし、窓の外をぼーっと眺める
アキ「………研磨はさ、高校のあとのビジョンとかあんの?」
研磨「…んー、なくはないけど。 …アキくんはどうだった」
アキ「高1だろ〜 ちょうどスポンサーついた頃だからサーフィンはやってくつもりっつーか、もうそういうもんだったけど。
でも話を受けるって決めた時点で、また1からってわけじゃないけど考え出したかな。
写真とか映像も、親父から学びたかったし、でもそんなん俺の場合高校のうちしかできねーと思って。
…去年会社も立ち上げたし、そん時描いたことは今できてるかな」
研磨「…へぇ」
アキ「周りに面白い大人がいたらちょっと聞いてみるってのはいいと思うよ。
繋がりはやっぱ活きてくるし。まぁ、研磨のやり方でいいんだけどさ」
研磨「…うん。 なるべく人に会いたくないから家で仕事できるようにしたい」
アキ「…………株、とか?
でも日曜の集まりも来てくれたし、部活とか苦じゃないんだな」
研磨「…うん、まぁ部活は。 …あと穂波ん家にいて疲れたことないから」
アキ「…笑 そうなんだ。 …なんか違う?」
研磨「…よくわかんないけど、みんな力抜けてて疲れない」
アキ「……へぇ」
………株、か。