第11章 暁
電車の中でも光太郎くんは相変わらずで、
でも人の多い車内でわたしをコーナーにうまく誘導して壁を作ってくれたり
さりげなく優しかった
一見ぱやぱやと盛り上がってる感じがするけど
地に足がついてて、お腹に力が宿っているような。
ヒーローとかスターって言葉がよく合う人だ。
♦︎♦︎駅の駅ビルにある食品店でデーツやらナッツやらを買いに一旦改札を出たんだけど、
光太郎くんも律儀にそこまでついてきてくれた。
買い物を済ませて、余ったお金をちゃんとお兄ちゃんに返してって渡され、それぞれの路線へと向かった。
連絡先を聞かれたけど、また会えたときにでも、と伝えた。
わたしはそんなにまめに連絡を取る人間じゃないし、
ダンスとスケボーとサーフィン。研磨くん。
お菓子や料理を食べてくれる人も機会も増えたから作りがいがある。
わたしの日々はもうすでに楽しいことで溢れてる。
いまはそれをしっかりと味わいたい
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夕飯を食べてお風呂にも入って
ブリスボールを丸めてたらお兄ちゃんが帰ってきた
ブリスボールは好きなドライフルーツとナッツを
フードプロセッサーにかけてから一口サイズに丸めたやつ。
栄養満点で美味しいおやつであり軽い食事にもなるので
早朝起きて海に入る前に食べたり、いろいろ重宝するので
大会含め遠征に行くときお兄ちゃんは必ず持ってく。
今日はデーツ、ドライバナナ、レーズン、カシューナッツ、アーモンド、ココア。
周りにココナッツフレークをまぶして完成。
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「おー穂波。今日はごめんなー」
『いいよ、謝ることじゃない。
光太郎くんのことはちょっと無理やりって思ったけど』
「うわ、うまそ」
『うん、いろいろ迷ったけどいつものにしたよ』
「サンキュー …ほいこれ、お土産。風呂入ってきてから一緒にくおーぜ」
『わ!ここのケーキ食べてみたかったやつだ。わーい ありがと』