第1章 出会い
6月。
今年は例年より雨が続いてる。
降ったり止んだりがなくって、基本ずっと降ってる。
雨に濡れるのも好き。
裸足で雨の中フラを踊ったり、くるくる回ったり、
何もせず真っ直ぐに立つだけでも気持ちいい。
でもしばらくサーフィンはしていない。
どうせ濡れるしできないことはないのだけど、
雷も怖いし、無理して行かなくてもいいか、っていうのがうちの両親の感じで、
わたしもそれを素直にまんま受け継いでそんな具合。
でも波と遊びたい、
太陽にじりじり焼かれたい!っていう欲望はちゃあんと溜まってく。
雨も好きだから、ストレスにはならないけど、太陽への羨望は募る。
それでも、雨の日の紫陽花って本当に綺麗。
雨が跳ね返る様子をみているのもほんとにすき。
窓ガラスを雨の滴が伝うのもずっと見ていられる。
そうだな、教室からの暇つぶしも多い。
人は、きっとみんな綺麗なものが好きだ。
何を綺麗とおもうかは人それぞれで、それがまた美しいって思う。
綺麗なものをたくさんみたい。
綺麗なものにたくさん触れたい。
そんな想いで心が溢れる、二週間雨の降り続いた梅雨のある日。
気がつくと、
隣の席にいる細く長い綺麗な彼の指を
わたしの人差し指がつーっと、伝っていた。