第11章 暁
ー穂波sideー
研磨くんは3枚もお好み焼きを食べた。
部活帰りの男の子の多くはもっと食べるのかもだけど、
研磨くんはきっと、3枚でも多い気がする。
「美味しかった。ごちそうさま」
毎日、言ってくれたナ…
何度言われても、嬉しくて顔がにやける
お皿も一緒に洗ってくれて、
テーブルも拭いてくれた。
『研磨くん、もう休んでていいよ。あったかいもの飲む?』
「うん、いただく」
りんごジュースと生姜のすりおろし、はちみつを少し。
小鍋であっためて、レモン汁を垂らす。
ソファでゲームしてる研磨くんのところへ持っていく。
『はい、どうぞ』
「…ん、りんごジュース?いい匂い」
『うん、おいしいんだよ』
「………ほんとだ、優しい味。 あったかいりんごジュースなんて初めて飲んだ」
『ふふ。 りんごジュースは無敵だ』
「…?」
冷たくてもあったかくても美味しくて、
風邪のときにもごくごく飲めるし、
お医者さん的にも多分大丈夫。
甘いから甘味料にもなるし、
すりおろしの代わりにカレーに入れたり、
ソースやタレを作るときも使える。
その上、原料が研磨くんの大好きなりんごだなんて、天下無敵。
「またここでみる?」
研磨くんがゲームしてるのを
ソファにもたれかかってみてると、
脚をとんとんしながら研磨くんが言う。
『うん』
立ち上がると
研磨くんはソファに脚を伸ばして、脚の間に隙間を開けてくれる
そこに座らせてもらって、
お腹までブンケットかけて研磨くんにもたれかかる。
研磨くんは当たり前のようにゲームを始めるけど、
わたしはなんだかどきどきしてる
…でもそれ以上にあったかいし安心する
「穂波、あったか…」
『うん、あったかい。 …寝ちゃいそ』
ぼんやりしながら、
ゲームの画面を眺める
指を動かす振動が研磨くんの腕、それから身体に伝わって、
微かにわたしの身体も揺らす
…心地いい