第10章 2012
ー研磨sideー
あー朝から熱いお風呂気持ちよかった…
家の中もあったかいし…
台所には穂波がいるし…
極楽。
ストーブのとこでゲームしてたら
ホットサンドの具を聞かれた
どれも美味しそうだけど…
「…ハムチーズ」
せっかくホットサンドなんだし溶けてるのいいかな、とか
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『研磨くん、できたよ』
テーブルには
ホットサンド、茹で卵の乗ったサラダ、昨日のスープ。
穂波と毎日過ごしたら、
何が食べれるんだろう…
作り置きとか、残り物とか…
合理的で、力みがなくて、美味しくて…
『はい、ココアどうぞ。 ホットサンドもあったかいうちに食べよ?』
「…ん、いただきます」
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『研磨くん、お腹いっぱい? りんご食べる?』
「うん、食べる」
『りんごの煮たやつとクリームチーズでホットサンドって手もあるけどどっちがいいかな?』
手もあるって…
なんか真剣でおかしい
「…その手があったか………」
『「…でも、そのままで」』
「………」
『わ!かぶったね、はもったね。わーい』
「………」
「…また今度、食べたい。…りんごのやつ」
『うん、今度一緒に食べようね。レーズンも入れてさ』
「…ん」
『…あ、そろそろ始まるかな』
「大会?」
『…うん、7:00〜だけど多分今頃競技開始してるかな。ちょっと、つけるね』
穂波はタブレットを持ってきて
ネット中継をつける
海と浜と人が写ってる
『あー、まだだった。笑
これ結構さ、球技とかのこう、画面越しにも緊迫感が伝わるような競技に慣れてるとさ、
間抜けというか拍子抜けしない?
海、浜、ギャラリー、波を待つサーファー
全然緊張感伝わってこないっていうか。…ふふ』
たしかに、緊張感とかは選手のアップを映さないと感じないかも。
「…穂波、おれも一緒にまた海、行きたい」
海に行きたいなんて、穂波に会うまで一度も思ったことなかった
『うん、わたしも。行こうね。これから、ゆっくり、たくさん』
「…ん」