第3章 歩み
ー穂波sideー
今日は雨。
昨日と同じ時間の電車に合わせて駅に行く。
五両目、昨日研磨くんたちがいたドアのあたりから乗ろう、
そう思いながら階段を登ってホームに上がると、
ゲームをしながら電車を待ってる研磨くんがいた。
『? 研磨くん? おはよう!』
「…あ。穂波さん、おはよう。」
『今日はここから?』
「…ん、一旦ここで降りた。昨日、あんなことあったし。」
………!!きゃー
研磨くんが、ふいにリードしてくれるときの破壊力ったらない!
『…え、わざわざその為に?ありがとう。』
「ん。…多分おれらがいつも乗るのはここだと思う。自販機のとこ。
…あ、でも部活の朝練始まったら、違う車両…女性専用車両とか…乗りなね。」
『…そうだね。気をつける。ありがとう!』
研磨くんはいつも通りゲームをしていて、
わたしはその隣で雨が落ちるのを眺めながら電車を待つ。
電車がホームに到着して、
ドンピシャ、クロさんはそこにいた。
「ぅーっす。おはよー」
『クロさん、おはよう』
「…おはよう」
・
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「ねぇ、穂波っ。孤爪くんと付き合ってるの??」
掃除の時間、掃除当番が一緒の芽衣に聞かれた。
それから廊下掃除のひかりと綾乃も、やってきた。
『へっ 付き合ってないよぉ。 でも最近一緒にいる時間が増えてきてる♪』
ひかり「でもなんで、孤爪くん?穂波、引く手数多で選り取り見取りって感じするけど」
綾乃「それな。この間テニス部の先輩にも紹介してって言われて断っといたのに」
『え、なんでって、なんで?』
ひかり「いや別に外見がどうとか、そういうんじゃないんだろうけど、
孤爪くんていつもゲームしてるじゃん?てか今までそんなふたり、喋ってたっけ?」
『初めて喋ったのは6月入ってからだから、確かに傍目には急に映るのかな。
でも、全然、いたって普通だよ。」
綾乃「でもあれよね、穂波と一緒にいるようになって、
表情とか喋ってる姿とか、目に入るようになって、ちょっと人気出つつあるよね。孤爪くん
今までひたすら目立たなかったのに。」