第10章 2012
「穂波、あれなんだっけ」
電気つけたまま布団に入って
ごろごろしてる。
『…ん?』
「あの、ドアにかかってるやつ」
『…あ、研磨くんがくれたユーカリだよ。きれいに乾いたでしょ』
「うん。その、乾かすのなんて言ってたっけ」
『…? …あぁ、ドライフラワー?』
「あ、そうだ。そのまんま」
朝からなんだったっけって気になってた
『バラはね、階段昇ったとこに飾ってるよ。 …薔薇の数とかはお店の人が選んでくれたの?』
「…あーっと………」
色は選んで、数は聞かれたんだよな…
「…5本か3本どっちにする?って聞かれて5本にした …なんで?」
『ふふ、なんとなくだよ。 …思い出してくれてありがとう』
「…ん。 …ねぇ、穂波、月曜来れたらきてもいい?」
『え、うん! もちろん。無理がなければ、ぜひ。』
「…ん」
穂波は身体を横にして腕を絡めてくる。
『明日、いい波くるといいな』
…そっか、いい波がこないこともあるのか。
天井の高さとか、コートの滑り具合が違うのとは全然違うな
『…少し、灯り落としてもいい?』
「うん。 …蝋燭見たい」
『蝋燭みたい? あ、見たい? …ん、そうしよっか』
前は3つだったのが4つになってる。
薪ストーブとも違って
小さく光が揺れる感じがいいなって思う
周りにぼんやと丸い光が広がってて。
穂波の表情もいつもと違って見える
身体を起こして穂波に覆い被さる
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