第10章 2012
ー穂波sideー
こんにゃくきんぴらを食べたときに、
研磨くんの口元にゴマがついて。
かわいいなぁって思って
何かに当たってふいにおちるかなぁって少しみてたんだけど、
なかなか取れなくて。
口元に気がいってたからかな、
ふいに、キスをしてた。
「…ちょっと」
『…ごまがね、ついてたの。こんにゃく食べた時に』
「………」
『ほんとはもっとしたい』
「…穂波」
『研磨くんはかっこいいしかわいいし色っぽいしエッチだし…』
「…ちょっと」
『たまに、ずる… 』
研磨くんは椅子から腰を浮かせて
わたしの後頭部に手を添えて、唇で口を塞いだ
数秒の間。
「…これでいい?」
『……』
「ここで、もっとしたいの?」
『……』
「…穂波の弁当、美味しい。…から、食べよ」
箸を握りしめて、コクリと頷くだけで精一杯…
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クロ「穂波ちゃん、顔赤くなってら」
夜久「普段なんの気なしに大胆なことしといて、けっこー恥ずかしがり屋。萌えるわぁ〜」
クロ「…あれ、山本は?」
海「…ちょっとトイレって歩いて行ったぞ」
夜久「…にしても、研磨も結構大胆だな」
クロ「アイテム装備してんだよ、あいつ」
海・夜久「………?…」
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「…穂波、ごちそうさま」
『うん』
「美味しかった。 ちょっとクロのとこ行ってくる」
『うん』
「…笑 ずいぶん静かになったね」
……だってふいうちがすぎるんだもん。
わたしの勢いのそれと、
研磨くんの冷静なそれとでは、
全然違うんだもん…
研磨くんはすぐに戻ってきて、ゲームを始めた。
わたしはぼーっと外を眺める
空はどんよりしていて、風も吹いてる。
雨、降るかな。
雪かな。