第10章 2012
ー研磨sideー
『…これ、差し入れ。よかったら食べてね。 …じゃあ、わたし先行ってる!』
部室の前まで来たら、
穂波は手に持ってた箱をわたして先に教室に行っちゃった。
…寒いもんね。
「クロ、これ穂波から差し入れ」
クロ「えーマジー!開けていいー?」
夜久「どれどれー?」
………?
クロ「何だろこれ、チョコレート?」
夜久「うわ、これ美味い! チョコの味もするけどチョコじゃない!」
山本「腹減ったっス! 俺にもください!」
海「ほんとだ、旨い。 ナッツか?腹持ちも良さそう」
福永「………(モグモグ)」
研磨「………おいし」
クロ「おぉ、旨いな。 でもこれなに? バナナの味もする」
…………。
一口サイズの丸いそれは箱にたっぷり入ってたんだけど、
あっという間になくなっちゃった。
美味しかった。
なにでできてたんだろう?
おれが出てから作ったのかな
・
・
・
クロ「…よぉ、新婚さん。差し入れごちそうさまって伝えといてな」
研磨「………」
クロ「…弁当も作ってもらったの?」
山本「なんスか、新婚って」
クロ「今日、穂波ちゃん家から来たんだぜこいつ。穂波ちゃんの親が留守の間に」
山本「…は?え、は?…とっとまり?」
研磨「うん」
山本「は?………はぁーーーーーー?」
研磨「…虎、うるさい」
夜久「今日も帰るんだろー?」
研磨「うん」
山本「はぁーーーーーー?」
研磨「はぁー?ばっかり言われても…」
山本「っちょ、はぁ?…え、てことは…………え、もしかして…その…あれか……?」
クロ(…なにを今更)
夜久「なーに言ってんだよ、そんないまさ…」
研磨「…虎、そういうんじゃないから。違うから。安心して」
山本「…ちょっ、…は?安心? …俺は別に… …いやそうだよな、そうだよな!」
昨日はエッチしてないし、昨日が初めてでもない。
クロ「どーいう意味?」
研磨「…別に、そのまんまの意味」
…捉え方は人それぞれで
玄関で靴を履き替えて
それぞれの教室に散り散りになる