第10章 2012
『…あ、研磨くん。洗濯物、出してもらってもいい?タイマーかけたい』
「…あ、うん」
部活で着た服とかまとめて持ってくる。
「…これ、このままいれたらいい?」
『あ、とりあえず全部こっちに』
そう言ってカゴを差し出す。
合宿のとき全部まとめてがーって洗ってたけど…
穂波はジャージのポッケの中を確認してから裏返して畳み、
それをネットに入れると洗濯機に放り込んだ。
「…あ、おれ何する?」
『…ん?…これやったら行くから好きにしてていいよ』
「…あっと、これする。ていうか母さんに自分でしろって言われた」
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“泊まってきてもいいけど、穂波ちゃんを母親代わりにしないように”
そう言われた。
…たしかに、そうだなと思った。
穂波はいろいろ当たり前にしてくれるしできちゃうけど、
母さんの代わりみたいにはしたくない
『…そっか。制約とはそのことか』
「…ん」
『…んー、もう全部終わっちゃった。ゴメン。 …じゃあタイマーお願いしようかな。笑』
「ん」
時間を逆算してセットする。
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2階のスペースのソファに2人で座って映画を観る。
背中から毛布を掛けてくっつきながら。
ココアが飲みたいと言ったら作ってくれた。
穂波はお茶。
映画は何度か観たことがあるやつだけど
スクリーンでみると当たり前だけど大きい。
音もスピーカーから流れてくるから耳に入ってくる感じが違う
淡々と進んでく感じが面白い。
大袈裟な抑揚がなくて、気がついたら物語が進んでる
映画のことはよく知らないけど、
この監督の作るものは面白いと思う
穂波は腕を絡めて少しおれに寄りかかるようにしてる
「穂波、横になろ」
ココアも飲み終わったし。
背もたれ側におれが寝転んで
穂波が落ちないように腕を回して身体をぎゅっと抱き寄せる
足も絡めると抱き枕みたいで気持ちいい