第10章 2012
ー研磨sideー
ゲームを切り上げてお風呂に行くと
穂波はもう湯船に浸かってた。
…そんなに時間経ってたか
「ごめん、のぼせてない?」
『ううん、全然。今入ったとこだよ』
「…ん。」
髪と身体を洗って湯船に浸かる
穂波の反対側に向き合って座るんだけど…
お風呂の中で向き合うとなんか、そわそわしてしまう
おれは脚を広げて伸ばして、
穂波は脚を閉じてすこし曲げて向かい合う
『映画、何かいいの知ってる?』
穂波はさっきからおれのすねを撫でてる。
「…んー。…ミシェル・オスロ?」
『わ。いいね。アズールとアスマール観たことない。研磨くんはある?』
「…うん。じゃあ、それにしよ。穂波みたことないの」
『研磨くん、ミシェル・オスロ好きなの?』
「…父さんが好きで、家で観てた。綺麗で好き」
『うんうん。色も音も綺麗だよね。…わたし、お父さんと結構趣味が合うかも』
「…あぁ、貫入?陶器のやつも好きって言ってたね」
『うん。…なんかうれしい。 …そっち行ってもいい?』
「…ん」
脚の間にすっぽりはいった穂波を後ろから抱きしめて
首筋に顔を埋める。
…これ好き。
穂波がこっちに顔を向けたから
そのまま口付ける。
優しくてなんかあったかい、
気持ちいいキス。
『ねぇ、研磨くん』
「ん?」
『好き』
「…ん」
『…ねぇ、研磨くん』
「ん?」
穂波の唇がもう一度重なる
啄むようなキスを 何度も交わす
『…ここに痕つけてもいい?』
鎖骨の下の方に指を這わせながら聞いてくる
「…ん、いいよ」
つけにくい場所なのか、
あれ?って小さく呟いて
何度か繰り返し吸い付いてた。
一生懸命おれに痕をつけようとしてるのをみるのは
すごく焦ったいような愛らしさがある
かわいいな…
そうやってゆっくりして過ごしてたら
すこしお湯が冷めてきて
追い焚きをしてあったまってから2人でお風呂から上がった。