第10章 2012
ー穂波sideー
〇〇駅を通り過ぎて△△駅で降りる。
昨日、研磨くんが家で泊まりのことを聞いたところ
あっさりと承諾が出たらしい
いくつか制約があるけど…と言いながら
穂波には関係ないから、と教えてはくれなかった
「…あのさ、それで…おれん家に荷物取りに行ってくれないかな
………部活の後そのまま穂波ん家に帰りたい。」
今日の昼休み、そう言って
お家の鍵と研磨くんの自転車の鍵を渡された。
そのままうちに来たいだなんてきゅんきゅんしちゃう
今日は芽衣とお昼を食べてたから
芽衣も研磨くんの言葉に一緒にきゅんきゅんしてくれた
芽衣は研磨くんとわたしが話すようになった頃からずっと
一番深くて暖かい眼差しで見守ってくれてる。
大事な友達。
玄関の鍵を開けて扉を開くと
いろいろが入ってるらしい鞄が一つと
自転車のかごに入るくらいの発泡スチロールが一つ
並んで置いてあった。
「…母さんがおでん、作っとくから持っていくようにって」
あぁ〜♡嬉しい。
おでん。おでん。おでん。
研磨くんのお母さんの作ったおでんを食べれるなんて。
嬉しすぎる。
蓋を開けて覗いてみると、
何枚かのジップロックに様々な具とお出汁が入って並んでる。
あぁ、お出汁の色を見るだけでよだれが出る。
『お邪魔しました』
小さくそう言って、玄関の鍵を閉める。
5回くらい、ちゃんと戸締りできたか確認した。
自転車のカゴに発泡スチロールを乗せ
研磨くんの荷物を肩にかけて
研磨くんの自転車に乗って家に向かう
「…おれの自転車の方が、カゴが若干大きいらしくて。…いいかな」
すっぽり収まった発泡スチロールをみて深く納得。
研磨くんは今日から二晩。
土曜日の朝まで泊まって行く。
土曜の部活帰りに荷物を取りに来て家に帰ると言ってた。
泊まれても一泊かな、って思ってたからとっても嬉しい。
夕飯はおでんがあるし
炊き込みご飯にしようかな。
朝のうちに作った白菜の浅漬けもあるし
お米を研いで浸水させておいて
あと干し椎茸を戻しておいて
しばらくのんびりしよっと