第10章 2012
ー穂波sideー
手袋って苦手でつけれなくて
1月の冷たい空気が風になって吹きつけてくるのを
ハンドルを握るわたしの手は真正面から受けて
つめたーくなってた。
保湿は怠らないようにしてるとはいえ、
急に暖かいところに行って日焼けをしたから
肌がびっくりしてるのを感じる。
そこにきてのこの冷たい風だ。
かさかさしちゃうかな…
研磨くんが出してくれたお茶の入ったカップを
両手で包んで手を温める
「…片手、繋ぐ? 繋いでても飲めるよ」
…うれしはずかし。
研磨くんとお喋りし始めた頃に、
わたしが暴走したやつ…
冷やかすでもなく
真似するって感じでもなく
研磨くんから発せられるとそれはもう
研磨くんの言葉になってて…
きゅんとする。
『………ふふ。…うん、そうする。…でも、冷たいよ』
「…ん、知ってる」
わたしはこの、研磨くんのいう、
「知ってる」 がすごく好きだ。
冷静で、的確で、嘘がなくて、無駄がなくて…
そんな研磨くんが
知っていて言ってくれてるんだ
知っていて受け止めてくれてるんだ
知っていて見守ってくれてるんだ って
心がすごくあったかくなるし、安心する。
右手をカップから離して机の上に置くと、
研磨くんが左手で握って
こたつ布団の下に移動させてくれる。
あったかいナ…