第10章 2012
台湾に行ってきてからの日焼けの話になって
引目とかはないんだけど 美容室は明日行くし
ケア足りてないってのは事実だったからそういう話をした。
「…うん、いつも綺麗だなって思ってた」
『…え?』
飾り気のない研磨くんの言葉には
いつも いつも どきっとさせられる。
「日焼けしてても、なんか透明感あって瑞々しくて。
いいよね。好きだよ」
ここまではっきり言われると、
馬鹿みたいにドキドキしちゃう
『…え?どうしたの研磨くん』
「…別にどうも。…思ってること言っただけ」
…ずるい。…きゅん。
飾り気がなさすぎて、恥ずかしくなってくる
もじもじしてるのも
冷静な目でじっと見られてるのがわかるから
余計に恥ずかしくなる。
『…ありがとう。研磨くん。……好き。』
「…ん」
『…あ。 改めまして、あけましておめでとう。今年もよろしくネ』
「…うん。…よろしくね」
…お土産、渡したいけど
繋いでる手、離したくないな
長方形のこたつにL字型に座ってる。
わたしが辺の短い方、研磨くんが長い方。
「手、あったまったね」
こたつ布団のなかでしっかりと繋いでた手は
すこし汗ばむくらいあったまった。
『…うん、ありがとう』
「みかん食べよ」
こたつの上にあるみかんを2つ取って、
ひとつ渡してくれる。
こたつでみかん…
うちにこたつないからな。
部屋に欲しいかも…
『あぁ、沁みる…』
「…ふ 笑」
『おいしいね、ほわほわするよ、こたつでみかん』
「…ん。 こたつで雪見大福もいい」
『あぁ…』
「あとで食べよ」
『…うん』
…………。
「ねぇ、穂波」
『…ん?』
研磨くんはこたつの机に伏せるようにして下から覗き込む
下から腕を伸ばして頬に触れ
そのまま優しく下に引っ張られて
唇が重なる
触れるだけ、
でもすこし長い時間触れたまま
「…ほわほわ」
『…ん。ほわほわ』