第9章 ユーカリ
考え事してたら花壇にぶつかってすっ転んだ。
転げたわたしの上をカズくんがジャンプして越えていく
研磨「!」
ひゃーーーーー!
カズ「…だって穂波ぼけっとしてて、絶対転ぶって思ったから」
『だって…だから……なに?』
心臓がバクバク言ってる
カズ「それを待ってた」
研磨「ブッ 笑」
『もーーーびっくりした」
カズ「どうだった?」
『どうって、ドキドキバクバク』
カズ「それだけ?」
『…あ、いや。すごくかっこよかった』
いつもみてるアングルじゃなくて
下から見るのは新鮮で、それからすごくかっこよかった。
高さがあって遥か上を飛んでるように見えた
ビデオとかでは下から撮ったりしてるのがあるけど
まさかライブでみるとは…
カズ「…ん。…でしょ。またそのうちしてあげる。
俺穂波のこといっぱいドキドキさせるから」
研磨「…」
『もうちょっと心臓に優しいドキドキでお願いします』
カズ「ひひ。いいじゃん、スリルも気持ちいいから」
…ちょっと、カズくんSっ気も男っ気も増してない?
こわやこわや
それからキックフリップを教えてもらった。
ジャンプしながらデッキを縦に回転させるやつ
これがなかなか難しい。
カズくんの教え方が上手いから
回転はすぐにかけれるようになったけど
その上高さを出して飛ばないとだし、もう一度乗らなきゃいけない。
片足だけ乗っかってそのままずごーって滑って転んじゃう。
「…ちょっとそれ、やってみたいかも」
研磨くんがこちらに向かって歩いてきた。
『うん!やってみて〜』
オーリー(ジャンプ)の練習はおろか
やり方も教わってないのにキックフリップって……、って思うとこだけど
きっとカズくんがやるのを研磨くんは冷静にみてたんだろうなとか思う。
………え、でも普通にプッシュして乗るのもやったことないよね
よくわからない安心感と
素朴な疑問で溢れかえる脳内。
カズくんも何も言わない