第9章 ユーカリ
『湯気が美味しいね、どれも』
今朝研磨くんが言ってたの。
研磨「…ん」
グラタンもドリアもスープもサラダも
ほわほわと湯気が立ち上っていて
外が寒い季節だと一層ゆげだけでもご馳走のように目に映る
みんなはふはふと熱々を頬張り、
すこし味見をさせてもらったりしながら。
今朝は家族と。
お昼はカズくんと。
研磨くんと一緒に、他の誰かと食卓を囲んでる。
こういう小さなじわじわとした幸せで日々が彩られてく。
昨日も今日も最高のクリスマスだ。
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お勘定を済ませて外に出る。
『ひゃー、空気が冷たい』
研磨くんがすっと手を繋いでボアジャケットのポッケに入れてくれる。
寒いけど、寒いのもいい。
スケボーをしに、ちょっとした広場に行く。
「わ。カズマ上手くなってる」
ここは普通に広場なので
花壇の枠とポール、ベンチがあるくらいであとはフラット。
そこで滑ってるのを見るだけで、
上手くなってるのがわかる研磨くんはさすがだ。
『…ね。やっぱすごいね。意識が変わったのもあるのかな』
「研磨もやる?」
「…いや、いい」
「ちぇ」
何度も誘わないのがカズくんらしい
「じゃ、穂波も見てないで滑ろうよ」
『…ん』
レベルの差がありすぎるほどにあるわたしと
どうしてカズくんはスケボーをしてくれるんだろう
気になってこの間パークデートに行ったときに聞いてみた。
『カズくんはどうしてわたしとスケボーしてくれるの?』
「…楽しいから。…上手い下手じゃなくて、一緒にいて楽しいから。それだけだけど」
『………』
なんとなくした質問への返答で
不覚にもものすごく照れてしまったのを覚えてるし
たぶん忘れないとおもう
この、研磨カズマは本当に素敵な男の子たちだぁぁ…
ぁあああっ
どんっ