第9章 ユーカリ
…時計を見ていなかったらもう12時半を過ぎてた。
カズくんが来てからもう2時間も経ったのか。
2階から覗くと2人は相変わらずゲームしてる。
ほんと、長い時間してられるんだなぁ。
…かわいい2人。
『お昼ごはん、外に食べに行かない?』
どこかで食べるなら、とお父さんがお小遣いをくれた。
旅行前で食材が十分にないから。
…だし、ほら。
ゲームをすることに異論はないけど、
一緒に歩いたりももちろんしたいから。
研磨「…ん。いいね」
カズ「ちょっと待ってて」
『うん、いいよ』
・
・
・
『何食べようね』
スケボーを手に家を出る。
カズ「グラタン食べたい」
『グラタンかぁ。いいね。…研磨くんは?』
研磨「…おれは、別に。なんでも」
『………じゃあさ、商店街の洋食屋さん行こ。
おじいちゃんおばあちゃんが開いてるお店』
むかーしからあるという洋食屋さん。
わたしも小さい頃からよく来てた
クリスマスムードとは疎遠なとこだけど
いろんなメニューから選べるしいいなって。
「あらぁ、穂波ちゃん。いらっしゃい」
おばあちゃんのゆったりとした喋り方にほっこりする。
『おばあちゃん、元気そうだね。彼氏連れてきたよ』
「あらぁ…2人もいるのねぇ」
『…ふふ。うん、そうだよ。…大事な2人だよ』
きっと素で言ってる。
おっとり穏やかに、たまに突拍子もないことを言う洋食屋屋のおばあちゃん。
キッチンに立ってるおじいちゃんは
気立てのいいハキハキした感じのひと。
キッチンに向かって手を振って席に着く
カズ「穂波、俺のことも彼氏っていったの?」
『…ふふ。うん、ごめんね。訂正しなかった』
カズ「いや、いいよ。いつでも彼氏になる」
『カズくんってほんと、きゅんとさせてくれるね。若返りのくすり』
カズ「ほんとのこと言ってるだけ」
『そこに一番きゅんとする。
研磨くんもカズくんも取り繕う気がないから、ふとした時の一言の威力がすごいんだよなァ
なにか、技みたいだね。………何にしようかな』
研磨「………(…技)」
カズ「俺、海老グラタン」
研磨「ラザニア」
『わたしオニオングラタンスープと温野菜サラダにする』