第9章 ユーカリ
ー穂波sideー
鍵を開けてドアをひらく
『カズくん、おはよう』
「…おはよ、穂波。……これお母さんから」
『わ。いいの?ありがとう』
お菓子屋さんの紙袋に入ってる。
焼き菓子かな。あとでみんなでいただこう。
「研磨、***やってる?」
すぐに研磨くんに話しかける。
研磨「…うん」
カズ「あそこのボスが倒せない」
研磨「…あー」
そして2人で床に座り込んでゲームを始める。
『カズくん、オレンジジュース飲む?』
「のむ」
『研磨くんもいるー?』
「…おれ、お茶でいい」
『はーい』
何度見ても嬉しい。
自分の大事な人同士が、ふと出会って、
自然と仲良くなっていく様って。
お花も、ツトムくんにお店聞いたって言ってた。
わたしのいないとこで会話があるってじわじわと嬉しい。
しかも研磨くんだから殊更かな。
時間があるとかそういう理由だけで、喋りにいくような感じでは全くないし。
オレンジジュースとお茶を机に置いて
ストーブのとこのカウチに座って本を読む
綾乃とかに話したら、
有り得ないって言いそうだな。
クリスマスにゲーム!?って。笑
一緒にいるときくらい、無理しないのがいい。
十分甘い時間も過ごしてるし。
なーんの不足もなし!
切りのいいところまで読み終えて、
耐熱瓶にお茶を入れてから湯飲みと一緒に
研磨くんたちのとこに置いておく。
台湾に行く準備しよ。
ボードやフィンはあしたお父さんと一緒にパッキングするから
着替えとか、普通のお泊りセットでいい。
台湾はご飯が美味しいから楽しみ。
日本も屋台が日常にあったらいいのになーって思う。
きっと昔はあったのだろうけど。
次、おでん屋の屋台を見かけたら絶対に食べよう。
よくわからない決意をしながら、
パッキングを済ませる。