第9章 ユーカリ
ー研磨sideー
クリスマスのケーキ。
ご飯が美味しくて、
話が楽しくて、
花に喜んでくれてる穂波がかわいくて、
ケーキのことすっかり忘れてた。
クリスマスはケーキを食べるんだった
椅子に戻ると穂波が
お茶のセット、それからケーキを持ってきた。
真っ白な綺麗なケーキ。
「わ、美味しそう」
『ね、初めて作った。…なんかさ、研磨くんから貰ったお花と雰囲気が似てる』
「…ほんとだ」
『…ね。なんか嬉しい』
『…写真撮っておこうかな。あんまり、普段撮らないんだけど』
何だろ、玄関で花を受け取ってくれたときから
花の話に触れてるとき、すごいかわいい顔をする。
写真を撮ってる穂波を、
ぼんやりと眺める
『…ん。とれた。…あっ、紅茶』
ちょっと濃ゆくなっちゃっちゃかも、と言いながら注ぐ。
ケーキの中にはパイナップルが入ってた。
ふわふわして滑らかなチーズの生地に、
甘酸っぱいしゃくっとしたパイナップルが美味しい。
下のざくざくしたクッキーみたいなのもすごく美味しい。
「…おいし。…軽くていいね」
『だね、軽いね。 …ふふ、研磨くん、ここについてる』
そう言って腕を伸ばして、
口元を指で拭いてくれる
そのまま何の気なしに指を咥えて舐めるけど、
さっきからほわほわした気分のおれにはとても色っぽく映る
…泊まって行きたいな。
明日部活休みだし、穂波もよければ泊まってって言ってたから
着替えはいちお持ってきた。
「…穂波、おれ今日…」
「ただいま〜!」
玄関のドアが開いて心さんが帰ってくる。
お酒を飲んだんだろうなっていう雰囲気。
『おかえり〜 …って、え?』
「…え。」