第9章 ユーカリ
ー研磨sideー
『できた♡』
和食がほとんどだったから
新鮮な洋食
品数はいつもみたいに多くないけど
なんか洗練された感じ。
テーブルにはキャンドルと、おれが渡した花が
皿やカトラリーと一緒に置いてある
鋳鉄のフライパンにはさっき穂波が仕上げてたやつが入ってて
鍋敷の上にそのまま置いてある。
こういうのだと皿によそわなくてもいい感じに映えるんだな。
「…これ、栗?」
サラダとパンを運んできた穂波に訊く
『うん、栗と鶏肉のクリームシチュー。好きな料理家さんのレシピ』
「へぇ、初めて食べる。美味しいそう」
『ん、食べよっか。…もっかい乾杯する?笑』
「…ん。笑」
おれは水、穂波は炭酸水を注いだグラスを合わせる
『メリークリスマス、かな』
「ん」
『これ、高校がある駅にあるね、美味しいパン屋さんのパン。
BBQのときツトムくんが買ってきてくれたとこの。
あのとき一緒に食べれなかったから、今日行ってきた。
美味しいんだよ』
サラダには柑橘とアーモンドが乗っかってて
ドレッシングは綺麗なピンク色をしてた
色は奇抜だけど味は普通に美味しい。
品数は少ないけど
クリームが濃厚だし、パンはよく噛むし…
いい具合にお腹が膨れる。
「…おいしかったー。 穂波、ご馳走様」
『うん、美味しかったね』
・
・
・
『…お花屋さん、ラッピングも素敵だった。よく行くお店?』
洗った皿をお湯でゆすぎながら穂波が言う
「…まさか。初めて行った。……ツトムくんに教えてもらって」
『ツトムくん?……え、嬉しい。ツトムくんに会ったんだね』
「…ん」
カフェまで聞きに行ったなんて恥ずかしくて言えない
「いい店だったよ。店の男の人も、いい感じだった」
『そっかぁ、お花の贈り物ってしみじみ嬉しい。本当にありがとう』
「…ん。…その葉っぱ、好き?」
『ん?…ユーカリ? うん、好き』
「…ん」
『研磨くんが選んでくれたの?』
「…うん、鮮やかじゃなくて落ち着く」
『…いい色だよね。ユーカリの実も入っててすごく素敵』
初めての贈り物、気に入ってもらえてよかった