第9章 ユーカリ
瓶を開けてグラスに炭酸水を注ぐ
ライムを絞って、
『乾杯しよっか』
「…ん」
なにも言わずに グラスを合わせる
…チンッ……
『…ブッ 笑』
「?」
『…ごめん、いきなりきた思い出し笑い』
「?」
『…このグラスもミイラごっこで巻かれてたなぁって』
「…ふっ 笑」
側からみたら別にそんなに面白くないんだけど
さっきのツボに入ったのがあるから
ちょっとしたことで再発しちゃう
「…ゴホッ……ケホッ……笑」
『大丈夫?』
「…ん……ケホッ……笑」
『………』
「油断して水飲んだら炭酸でむせた…」
『…ふふ、ごめん、大丈夫?』
「いや、謝るとこじゃない。笑 ダメだよくわかんないけどおかしい」
こんなに笑ってる研磨くんは初めてみた。
クロさんにも見せたいくらい
さっきも思ったけど、そう。
冷静であるほど、可笑しさが増す図ってあるんだよね。
研磨くんはいつも冷静だから… 笑
ダメだこれ無限ループ
研磨くんの脳内とか状況を想像して可笑しくなってきちゃうやつ
『…よしっ』
料理に戻ろう
笑い転げてる間に美味しい焼き目のついた鶏肉を裏返し、蓋をして蒸し焼きにする。
色が変わったら白ワインを煮立てて、
フェンネルの枝と水を注いで蓋をして弱火にかける。
サラダリーフを冷蔵庫から出してお皿に盛り付け
文旦の皮を剥いて、上にばらばらと並べる
アーモンドも砕いて、それものせる
お肉が柔らかくなったので
栗を入れて蓋をして5分ほど煮る。
『もうすぐできるよ』
「…ん。いつもと違うね」
『…ん。少しはクリスマス色を出せたらと』
「おいしそ」
話しながらパンをスライスして、
網に乗せて炙る
スキレットの蓋を開けて、塩で味を整えて、
生クリームを加え火を止める。
『できた♡』