第9章 ユーカリ
ー穂波sideー
お兄ちゃんが高校生の頃のクリスマスイブの我が家の写真を見ながら
研磨くんとけたけた笑った
研磨くんがあんなに頻繁に吹き出すなんて!
でもほんと想像するときの頭が、冷静であるほど可笑しいことってある。
今日のも多分それ。
これはきっと研磨くん、思い出し笑いもするだろうな…
『そろそろお腹空いてきそう。作り出そうかな』
「…ん」
『研磨くんの過ごしたいようにしててね』
空いてるカップを持って下に降りる。
湯がいて冷ましておいた栗の皮を丁寧に剥く
ころころかわいい栗たち。
リーフ類をさっと洗って、
サラダスピナーで水気を切って冷蔵庫に入れておく。
…今日ほんとに手、込んでない。
大丈夫かしら
今更、そんな考えが過ぎる
ま、いっか。
骨付きの鶏もも肉の脂を取り除いて塩をしておく。
スキレットを熱して油を敷き皮目からじっくり焼く。
縦に半割りにした玉ねぎも切り口を下にして空いてるとこに並べて
少しずらして蓋をする。
…ドレッシング、作ろ。
紫玉ねぎと蜂蜜、塩、リンゴ酢、米油をブレンダーでぶいんっ
普通の玉ねぎドレッシングも、
紫玉ねぎを使うと綺麗なピンクのドレッシングになる。
洗い物をしながら鶏肉に美味しそうな焼き目がつくのを待つ。
「…いい匂い」
研磨くんが降りてきて
カウンターの向こうでスツールに腰掛ける。
『なんか、お酒でも出したくなるね。笑
料理作りながら、カウンターで飲むの。憧れてる』
「へぇ」
『炭酸水とか、飲む?』
「うん、飲もうかな」