第9章 ユーカリ
クリスマスだからといって
そんなに手の込んだことをするつもりはなくて…
冷凍してある栗を湯がいておこうかな。
お風呂洗ったり、洗濯物畳んだり…
普通に家のことして過ごしてたらインターホンがなる。
『はーい』
研磨くんダ。
玄関に小走りで向かう。
扉を開けると、わかっていたけど研磨くん。
迎えるって初めてかも。
BBQのときはわたし外にいたし。
ドキドキ。
『研磨くん、どうぞ〜』
研磨くんは濃ゆい青のデニムに、
白いパーカとその上にアイボリーのボアジャケットを羽織ってる。
ジャケットの下に黒いウエストポーチを斜めがけして。
わ。サイジングもちょうどでかっこい……
研磨くん×ボアってかわい……
『研磨くん?』
研磨くんは腕を後ろに回して立ったまま動かない。
『寒かったよね。入ってどうぞ?』
研磨くんはなんだか少しそわそわしてる。
「…ぇっと、穂波。…これ」
そういって花束を差し出された。
『……………』
「…穂波に。…はい」
『…ありがとう』
両手で受け取る。
白い薔薇と白いラナンキュラスとユーカリの花束。
…綺麗。
『…すごく、綺麗。研磨くんありがとう。』
扉を閉めて、もう一度お礼を言う。
「…ん」
『いま、あったかいお茶持ってくるね。好きにしてて?』
三年番茶をあっためてる間に
花束の包装を外して、水切りして桶につけておく。
研磨くんにお茶を持って行って
ちょうどいい花瓶を探しに行く。
どこに置こうかな。
今日はやっぱりダイニングテーブルだナ。