第9章 ユーカリ
ー穂波sideー
【明日やっぱり一回家帰ってから行くね】
金曜日、研磨くんからメールが来た。
それもそうだな、時間はあるし…
【うん、了解。好きな時にきてね】
大体制服かジャージだから、
着替えてくるの…初めてかも。
どんな服でくるかなぁ
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土曜日。
レッスン料はなしにして
来れる子たちだけでいつもと違う踊りを踊ったり
みんながいつも聞きたかったことを聞いてもらったり
逆にわたしが聞きたかったことを聞いたり
フランクに楽しめる日にしてみた。
帰りに小さなプレゼントをみんなに配った。
そんなつもりじゃなかったのに
プレゼントをくれる子たちもいて…
「せんせい、いつもありがとう」
だなんてメッセージが添えられてたりするものだから泣いてしまった。
まだクラスを始めて二ヶ月ぽっちだけど、
生徒さんたちはみんなかわいくて、
大事な妹?娘?…感覚はそんな感じなんだけど…
なんだろう、大事な生徒さん。
幸せだなぁ…
みんなが教室を出て、片付けをして、
ツトムくんたちのいるカフェに顔を出す。
飲食店は一昨日くらいから、とてもいそがしいはず。
『これ、みなさんで。メリークリスマス!』
レジの近くにいたツトムくんに一言声をかけて、
邪魔にならなそうなところに紙袋を置いていく。
「おー!穂波ちゃんもメリークリスマス♪」
今日、お父さんとお母さんは仕事のあと、
ディナーデートをするので家にいない。
わたしが小学4年生くらいの時から、
イブの夜は2人でディナーに行くようになった。
お兄ちゃんはその時高1で
わたしのお守りを任されてたわけだけど、
その頃の彼女を連れてきたり、友達を呼んだりして
賑やかな楽しい思い出がある。
一昨年アメリカに行っちゃって、
最初の年はわたしもハワイに留学してたけど
去年は1人で家でイブを過ごした。
去年は、来年も1人かなぁ〜
でも1人も気ままでいいなぁなんて思ってたのだけど
好きな人。研磨くんと過ごせることになって、嬉しいな。