第2章 芽生え
…想像すると、ちょっとやばい。
けど口から出た言葉は
「…へぇ。いいな。おれも、してみたい」
…なんでこんなこと言ってるんだろ。変なの。
『うん!研磨くんの良い時に、一緒に行こう?夏の間にいけるといいね。」
普通に返事が返ってくるから、
おれも、恥ずかしくならずに済む。
「…うん」
(おいおいこいつら、ほんと意味わかんねぇ。めちゃめちゃ際どい駆け引きみたいな会話を、
あっけらかんと至極素直にしてやがる。二人とも三ヶ月前には中学生だったくせによー)
「そうだ、穂波ちゃん、男バレのマネージャー募集中なんだけど、どう?」
『すっごく、惹かれるの、参加できたら楽しいだろうな!って。
でもいま、放課後も夏休みも週末も朝も、やりたいこといっぱいで。
ごめんね、マネージャーはわたしには到底務まらないと思う。
けど、試合とか?観に行きたいし、人手が必要なときがあったら、わたしにできることがあればなんでもしたいな。
いい子が、きてくれるといいね。」
「オッケーオッケー。試合見にきてくれたら嬉しいなぁ?研磨!
練習も覗きにおいで」
『そうだ、研磨くん。今日学校、わりとすぐに出なきゃで。だから、今日は一人で帰るね』
「…うん。」
穂波さんはぴょんっとおれの前に来て、後ろ歩きしながら首を傾げ
『お昼、今日も一緒に食べたい…な?』
っっって!…かわいい。
クロ(おやおやおや、それは反則)
「…うん。一緒に食べよ。」
『…ふふ。やった。』
「部室で食べてもいいけどー」
「…部室はいいや。なんか、やだ。」
「…まぁな。飯食うのにわざわざ部室はな。」
(こっちはただ2人きりになれるようにと思っただけだってのー)
クロも、なんか楽しそうだな。
変なの。