第8章 栗と飴玉
ー穂波sideー
ストーブでも焚き火でも、
ゆらゆらと静かに燃える火って見入ってしまう。
読もうと開いた小説を持ったまま
ぼーっと見つめていると
さっと視界が遮られる
気付けば研磨くんが目の前に立っていて
膝掛けに手をついて身をかがめる
唇が重なる
研磨くんの口から
電車の中で舐めてた飴の香りがする
何の味かはわかんないけど、甘ったるい香り
甘い音を立てながら、啄むように優しくキスを落としてくれる。
ブレザーの襟を掴んで引き寄せると
研磨くんは少しよろめいて
空いてる座面に片膝をつき 頬に手を添え唇を舌で撫でる
応えるように舌を絡めながら
襟元に手をかけて袖を肩から下ろすと
研磨くんは頬に添えていた手を離してブレザーを脱いだ
もっと、欲しい。
ベストの裾に手をかけて促すと唇が離れ、
ベストも脱ぎ去る。
シャツとネクタイだけになった研磨くん
緩く締めたネクタイも
ボタンを上まで閉じてないシャツも
いつもと一緒なんだけどなんだかいつも以上に色っぽい
『…っはぁ…』
いまはどこにも触れられていないのに
吐息が溢れてしまう
………わたしやっぱり変態かも…
「………何か想像してるの?」
言葉責めとかじゃなくて
ただただ冷静な質問を
微に首を傾げながら研磨くんは投げかける
それと同時に見たかった仕草…
研磨くんは右手でネクタイを緩め、ボタンをひとつ外す。
緩んでいた襟元が更に崩れる
『…はぁ………』
だめだ、もう堪らない。