第8章 栗と飴玉
『うー、やっぱ冷えたね』
何だかなんだ今日はほとんど外で時間を過ごした。
天気も良くてそんな寒くはなかったけど、
夕方になるとやっぱり冷え込む
「うん。冷えるね」
『ストーブ焚くね、ブランケットもあるからあったかくして待ってて』
前に来た時は薪ストーブに背を向けるように
テラスを眺めるようにソファがあったけど
ソファの向きも場所も移動して
ストーブを中心にした感じの配置になってる。
前に窓際にあった一人がけのカウチと小さなローテーブルはストーブ近くに移動してる。
そのカウチに座って穂波が火を起こすのをぼんやりとみつめる
杉の葉と小枝を使って最初の日を起こして、
薪をいれて、ストーブの窓を少し開けた状態に閉じる
「杉の葉っぱ?」
『ん?うん。着火材になるんだよ』
「燃やすといい香りなんだね」
『ね!お香作ったりもできるんだって。今度やってみようかな』
『ゆっくりしてて。ちょっとだけ、先にやっておきたいことしてくる』
穂波はそう言うと台所に行って、なにか作業を始めた。
じんわりと部屋があったかくなっていく。
あ、これ、絶対すごいあったかいやつだ。
急激にあったかくなるんじゃなくて、じわじわ。
『あったかくなってきたね』
お茶を持って来て
それからストーブの窓を最後まで閉めて、
通気口?っぽいところも閉める
こうやって火力の調整するんだな…
「…準備おわった?」
『…うん、一旦休憩』
窓の内側で燃えてる火、みてて飽きないな…
穂波はもう一つのカウチに座って
同じように本を片手に、ストーブを見つめてる
ストーブの火の灯りがぼんやりと穂波の顔を照らして綺麗だな
気がつくと立ち上がって、
カウチの肘掛に手を着いて
穂波にキスをしてた
…穂波に出会ってから、
気がつくとってのが多くなったな…
ぼんやり、そんなことを思う