第8章 栗と飴玉
「え、穂波ちゃん動揺してんの?不安?」
『いえ、そういうわけでは…ないんだけど、
立て続けに知ってる人が告白されてる現場を目撃して、
ちょっとなんか、落ち着きないかも…』
「あ、そ。笑 お、もう女の子歩き出したぞ」
『…(ほっ)』
「…俺行かない方がいいかね。」
『え、なんで?』
「ナントナク …ちょっとバンド聴いてからそっち休みにいくゎ」
『はーい』
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「…あ、穂波。おかえり」
部室の前でしゃがんでゲームしてる研磨くんの隣に座る。
『ただいま。 あぁ、安心する』
「?」
『うろちょろしてたら落ち着きがなくなってきちゃって。
みんなのわくわくとかどきどきがくっついてくる感じ』
「…(よくわかんない) あ、今さ」
『うん』
「好きって言われた」
『…うん。…誰に?』
「……虎と同じクラスの女子」
『…そっか。教えてくれてありがとう』
「ん。穂波、もう帰ろ。てか、どっか行こ」
『…ん』
なんだか落ち着きない学内で、
屋上は今日は開いてないし、
部室もずっといるには狭いなぁって思ってた。
今日は鞄を朝から部室に置かせてもらっていてこのまま帰れる。
「鍵、戻してこなきゃ」
『あ、クロさんすぐに来るって言ってたよ』
少し待ってみるとクロさんが来たので、
鍵を渡して学校を出る。
「…行きたいとこ、ある?」
『うーん…ちょっと人は避けたい気分』
「うん」
まだ13:30。だいぶ早い抜け駆け。
放課後デートっぽいけど、ゆっくりしたのがいい。
とりあえず、駅に向かわず河川敷をてぼてぼと歩く。
「…昨日の穂波とサッカー部の、見てたんだって」
『ん?』
「今日おれに好きって言ってきた子」
『…(はずかし…)』
「それで、気持ち言おうって思ったって言ってた」
『そっか』
「…触発された生徒多いっぽいね。…ふっ 笑」
…また笑ってる。
『研磨くんは嬉しかった?想ってもらえて』
「…うーん。別に。特にそういうのなかったかな」
『そうなんだ』
「…ありがとうは思ったし言ったけど、嬉しいとかはない」
『…そか。話してくれてありがと。」