第8章 栗と飴玉
ー穂波sideー
ノブくんと話し終えて、
研磨くんのとこに戻ろうと身体の向きを変えたら
目の前にたくさんの人がいて驚いた。
ここがどこで、今がいつか唐突に理解して
今まで話してた内容とか思い出して
ものすごく恥ずかしくなる…
穴があったら入りたいとはこの事だ…
顔が真っ赤になってるのが自分でも分かるし、
頭の中ぐるぐるになって動けないでいると
スカートのポッケで電話が鳴った
…研磨くんからだ
「穂波?」
研磨くんの声が聞こえる
「ここにいるから、早く会いにきてよ」
人が多すぎてどこにいるかわからないけど
電話を耳に当てたままステージを降りて歩く。
歩き出すとまた、人が避けて前に道ができていく。
ううう……気持ち悪い…これ、苦手だ…
でも、とりあえず道の通りに歩いていると
目の前に研磨くんが現れた。
みんな案内してくれたんだ…気持ち悪いとか思ってごめんなさい…
「穂波、行こ」
『…ん』
研磨くんに手をひかれて歩く。
どこからどこまで研磨くんが見ていたのかわからないけど、
研磨くんはいつだって研磨くんで、そのことにすごく安心する。
バレー部の部室前まで来て、立ち止まる。
ここまで来ると、人も少ないな…
あ、もうそろそろ1日目も終わるのかな。
「…ふっ 笑」
あ、吹いた。
わたしのこと面白がってるんだ
「穂波、もう帰ろ」
『…ん』
研磨くんは鞄を部室に移動してくれてて、
職員室に部室の鍵だけ返して、
人混みの中教室に戻らずに学校を出れた。
『明日って何するのかな。後夜祭もあるんだよね』
「なんか、実行委員の審査に通ったクオリティの高いステージだけやるって言ってたけど」
『…へぇ。バンドとか漫才とかかな。ちょっとおもしろそう』
「…」
『ふふ。…研磨くん、電話くれてありがとう』
「…ん。 ……ふっ 笑」
『あ、また笑った』
「…だって 笑」
そんなに滑稽だったのか…