第2章 芽生え
…まーたわたしは思ったことをあけすけにペラペラと!!!
これじゃあまるで、告白しているみたい。
でも、告白はもうちょっとあと。
いつとかどことかじゃなくて、
きっとその時はもっと大きな波が、風が、わたしの背中を押すはずなんだ。
でも、無理に話を続けず、
こうしてまた普通にそれぞれの時間に戻れる。
この感覚こそが、すっごく心地良い…
会計を済ませて外に出る。
『わたし、誰かと一緒に勉強したの初めてかも。
教わるとかじゃあなくって。こうして。淡々と?
こんなに集中できるなんて思ってなかった』
「…そ。よかった。」
『…ふふ。研磨くんお家はどっちに行くの?
わたしはこっち』
「あ、おれも。途中まで一緒かな」
『だね』
しばらく一緒に歩いて、三叉路のところで分かれた。
今日は現代フラ。
この幸せがもっともっと広がっていくように、
楽しく踊ろう。
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「なみ〜今日は一層楽しそうに踊ってたねぇ。
なにか良いことあった?」
レッスンの後、花ちゃんにいわれた。
花ちゃんは現代フラの先生。
花ちゃんのお母さんにずっと習っていたのだけど、
去年からは花ちゃんもクラスを始めたのでこっちにきている。
今は、23歳。小さな頃から知ってるから、先生だけど花ちゃんは花ちゃん。
現代フラを踊ると、自分がまぁるく女性らしくなるのがわかる。
みんな、レッスン前と後の表情や空気が違う。
古典フラのときとはまた違った、嫋やかな強さを感じる。
『花ちゃーん!クラスに気になってる子がいてね、
その子の家が△△駅だったから、今日、レッスン前まで一緒に過ごせたのー!』
「きゃー!気になってる子がいることも初耳ー!」
…そうして今までのことをかいつまんで話した。
「ハワイ島にいっしょに、かぁ。いいなぁ。
同じことをしなくてもって、その感じはよくわかるけど、
研磨くんはサーフィンとかトレッキングとか、全くしそうにないの?」
『うーん。全くしそうにない、とは言い切れないけど、今のところは自発的にはしなさそう。
圧倒的な自然の中で、研磨くんは何に触れたいって思うんだろう。
たとえそれが、携帯でもゲームだとしても、わたしはきっとすごく満たされると思う」