第2章 芽生え
駅のすぐ近くにある喫茶店に入ることにした。
お喋りもしたいけど、勉強も…!
日本史のノートを出して、テストに出そうなとこを確認してく。
日本史って、授業を聞くのとか、本や映像で触れるのは楽しいけど、
テストとなるとただただ暗記でおもしろくない。
けど、覚えればいいから簡単は簡単。
注文したものが運ばれてきた。
わたしはオレンジジュース。
研磨くんはアイスティーとアップルパイ。
研磨くんは、早速アップルパイに手をつけてる。
「穂波さんも、食べる?」
『…ふふ。じゃあ一口だけ、もらうね。
……ん。あ。美味しいね』
「…うん。美味しい。
もっと食べたかったら食べてね」
『ありがとう。でもこれからいっぱい動くからさっきので十分!
研磨くんは今なに勉強してる?』
「…英語。…穂波さん、発音すごく綺麗だよね。」
『そう?ありがとう〜
両親についてって小さい頃からけっこうサーフィンしにいろんなとこ行ったり。
逆に海外から、人が来たりとかあったからかな。英語には触れて育ったかも。
あとー、中学校の時一年間、ハワイ島の学校に行ってた』
「…へぇ。…ハワイ島」
『うん!ハワイ島。エネルギーいっぱいの島!すごく気持ちの良いところ。
今年の夏休みもね、二週間ほど行ってくる』
「…家族旅行?」
『今年は、わたし一人。オーストラリアからサーフ仲間が来てくれるから、親は日本で過ごすって。
ハワイ島では宿も、お祖父ちゃんの友達の家だし、なんだか田舎のおばあちゃん家に帰る感覚だよ。
すごく良いところだから、いつか研磨くんと行けたら良いな。』
「………」
『研磨くんは海とか山とかで遊ぼー!ってならないかもだけど、一緒にいけたら絶対に幸せ。
わたしはさ、同じところにいて、一緒のことをしなくても別に良いと思うんだよね。
けど、こんな暑いなか体育館でバレーをできる研磨くんが、
海のそばで何をしたい、何を嬉しいって思うのか、興味もある。笑
わたし、研磨くんのこと、もっともっと知りたい。』
「………あ、おれも。…おれもそれ、思ってた。
もっと、知りたい。」
『…え、嬉しい。それは、とっても、嬉しい!』
………。
「…うん。…勉強しよっか。」
『…そうだね。そうしよ』