第8章 栗と飴玉
ー穂波sideー
研磨くんに山本くんのことをお願いして、学校を出る。
今日はレッスンのない日なので、
ケーキの材料を買って帰るのだ。
「穂波ちゃーん」
正門を出るところで後ろから呼ばれる。
振り向くと体育祭の片付けを一緒にしてくれた□さんだった。
サッカー部の練習前かな?
『あ、□さん。これから部活ですか?』
「そうそう!グラウンド行くときに穂波ちゃんの姿、見えたから」
『…ふふ。じゃあ、□さん…』
「ノブ!苗字じゃなくてノブって呼んで。穂波ちゃんと仲良くなりたいから!」
『ノブさん』
「せめて くんで!呼び捨てでもいいくらい」
『…ノブくん』
「よっしゃ。…あのさ、文化祭初日のさ、15時ごろ、体育館に居てね」
『…?ノブくん何かに出るの?』
「まぁそんなとこ」
『うん、わかった。15時ごろ!楽しみにしてるね』
「楽しみにしてて」
そう言って頭をくしゃっと撫でて
爽やかに走っていった。
サッカー部の人たちって爽やかって括っちゃうなぁ
日焼けした肌で颯爽と走ってるイメージだからかなー
電車に乗る前にこっちの駅の輸入食品店に寄って
マロンペーストとか美味しいバターとか買ってく。
バター、このまま保冷せず持って帰ったら帰った頃に柔らかくなってるかな。
卵は朝のうちに冷蔵庫から出しておいた