第7章 アイテム
ー研磨sideー
「根性なしは根性について語るな って」
『ふふふ。山本くんっぽい。いいね。そりゃそうだよね』
「それから、頭のどこかでずっと考えてる。根性ってなんだろーって」
『…根性ってなんだろうね。…考えると確かに、うん
…何か発見したら教えてね』
「…ん」
『そうだ、研磨くん。』
穂波が鞄から何かを取り出す。
『これ、どうぞ。16歳のお誕生日おめでとう。』
「…え、いいの?ケーキもらったのに」
『…ん。いいの。…選ぶのが楽しいの。…あっでも、なんか義務化みたいになるのはやめようね。
…一緒にいる時間を大切にしたいから』
「…?」
『…これからも、お誕生日何度もお祝いするでしょ?
プレゼント選ばなきゃ、ってなるのはやめようね…ってこと…
そのときそのときでいいと思うんダ、わたし。お祝いできれば』
そんな当たり前に、これからも一緒にいるって思ってるんだな。
おれもそういう節があるけど…
「…うん。わかった。…開けてもいい?」
『うん、もちろん』
艶のない白い陶器のカップだった。
細かなヒビみたいのが全体に入ってる。模様かな
すごく、いい。
「…うわ。…ありがとう。すごい、雰囲気ある。いいね、これ」
『…うん、良かった』
「この、ヒビみたいなのは?」
『貫入、っていうの。本体の素地…土?と釉薬の温度の下がり方が違うから、
冷めてくときにヒビが入るんだって。そこにね、またお茶とかの色が染み込んで味になってくんだよ
育てるカップ、って書いてあった。』
「へぇ」
『わたしもね、お揃いで買ったの。
作家さんの手作りだから、ちょっと風合いが違って、こっちの方が研磨くんぽいと思って。
いつか一緒に住むときに、2人のカップが並ぶのが楽しみだなぁって』
「…いっしょに、すむ」
『…はっ! ごめん、勝手に先走って。
カップが並ぶことがなくても、これは研磨くんのカップ。育ててね』
「…ううん、おれもずっと一緒にいれるって思ってるけど…
ありがとう。大事にするね」
『…ん』
……………。