第7章 アイテム
ー研磨sideー
アイテム乱用、か
でも、使うことで体力が減るわけでもないし…
ていうか、乱用してないし。
初めて穂波の涙をみた。
どうしたんだろうって気持ちと
知らない表情を知ることへの嬉しい気持ちとかが混ざって
猛烈に触りたくなったから
だから触れたんだ。頬に、唇に、手に。
嬉し涙だって言ってた。
…ヨクワカンナイ
けど
悲しい涙じゃないならって安心は、した。
俺は一人っ子で
こんな性格で
クロくらいしか遊ぶような友達はいなくて。
だから夕飯に誰かを呼ぶとか
親から提案されるのもクロを除いてあるわけなくて
…穂波を誘うように親に言われて
えぇーって思ったけど、でも穂波だし。
ちょっとしどろもどろになったけど、声をかけた。
………それで、気付いたら泣いてたのか。
涙はそのせい?
うーん、やっぱちょっとよくわかんない。
「おい、研磨。集中」
「!」
サーブ練習の時に、ぐるぐる考えてたら
クロに注意された。
「…ん」
・
・
・
「おいこら研磨っ!」
練習後に夜久くんが絡んでくる。
研磨「………」
夜久「中庭でいちゃこらしやがって」
研磨「…してない」
キスしただけじゃん。
いちゃこらってもっとなんかはしゃいでうっとおしいやつじゃないの
夜久「いやしてただろ!」
研磨「……アイテム」
夜久「は?」
こういう時、防御力の上がるアイテムがあったらいいのに…
いや、別の場所にワープできる穴を出現させる呪文とか………
クロ「………」
夜久「ほんと、すげー大きな変化なはずなのに
そこ以外なんも変化なし」
海「?」
夜久「研磨のこと」
海「あぁ」
夜久「彼女ができて、休みの日とかの過ごし方も変わって、
目立つの大嫌いなくせに、穂波ちゃんと普通にいちゃこらしてるくせに、
それ以外がこんなに変わんないってなんなの」
海「………いちゃこら…」
夜久「一目も憚らずチューするのは日本では十分ないちゃこらだ!」
海「…全部が自然なんじゃないか?だから研磨も…」
夜久「そのままのまんまってか」