第7章 アイテム
・
・
・
すごかった。
踊りもだし、ロケーションも、天候も、映像もほんと綺麗。
衣装がフラダンスって聞いて想像するような花柄のじゃなくって、
無地で自然な感じの色だったのが、また穂波らしくてすごく良い。
…それに、雨が降ってたから髪も肌も濡れてて、なんかすごい。
エッチだった。
周平「…すっげー。3年前と全然違うじゃん」
クロ「前、海で踊ってたのとも印象ちがったな」
『…タヒチアンは周平が向こう行ってから始めたから』
カズ「………」
穂波に聞こえれば良いから、
耳に口を近づけて小さな声で、
「綺麗でかっこよかった」と伝えておいた。
ちょっと恥ずかしそうに笑う穂波。
風に触れる花みたい。
「研磨、そろそろ行くか?」
…だよね。明日学校だし。
「…ん」
『…あったかいお茶いれるから、飲んでからはどう?
引き留めてるわけじゃないんだけど…』
クロ「お。いいね。いただきます」
穂波がりんごの乗ってた皿をもって下に行く。
クロ「周平は?泊まってくの?」
周平「そー。親2人とも酔っ払ってるから。
まースケボーで帰れなくもないけど、荷物持ってきたし、明日そのまま行く」
カズ「………研磨は帰るの?」
研磨「おれは帰るけど…」
カズ「………」
周平「…俺、警戒されてる?よね?」
カズ「………だって周平、」
周平「俺、人の女には手ぇ出さないから。これマジ。
帰ってきたとき穂波に相手いなかったり、
関係が良くなさそうだったらっとは思ってたけど。
ほんと、全然、実行はないから」
クロ「………実行は。笑」
周平「いや、すぐなんか変なこと言っちゃうけどね〜それは多目にみてもらえると〜!」
周平は、多分本気で言ってる。
最初に見た時みたいな感じが今日は無かった。
口が軽いから誤解され易そうだけど、誠実なんだろ…
研磨「…別に。心配してないから」
周平「…そーゆーとこね。ちょっとくらい最初のときみたいに警戒してくれてもいいんだけど」
カズ「………」
『お茶入った〜 上で飲む?』
下から穂波の声がする。