第7章 アイテム
洗い物が終わって、お茶の用意をする。
周平が説明したり
クロさんが質問したりしながら
いろんなスケボー動画を楽しそうに4人で見てる。
プロジェクターで壁に移してみるのもいいけどなァとも思うけど、
こうやって小さな画面をみんなで覗いてる姿も可愛くて見ていたい。
机にお茶を置いて、
キッチンに戻ってスツールに腰掛ける。
…ほんと、夢見たいな光景。
「なぁ、研磨たちまだ時間大丈夫だろ?
穂波、上でスクリーンでみよ!」
急に周平がこちらに話を振る。
『…へ?あ、うん。いいね。…上、行く?』
お茶を手にみんなで上に上がる。
プロジェクターをセットして、あとは周平に任せて
一度下に降り、りんごを剥く。
上に行くと、ちょっと前にお父さんとか周りの大人で撮影した
カズくんのPVをみてた。
…カズくんは見てもらうことに興味なさそうだけど、
周平がこのビデオの存在を知ってたのかな。
周平が一人がけのカウチに
クロさんが揺れ椅子に
研磨くんとカズくんが2人がけのソファに座ってる。
研磨くんの前の床に座ると
ソファにあげていた脚を降ろして、わたしを挟む。
ソファにもたれかかって、研磨くんの脚に頭をのせる。
…幸せ。
「周平のこういうのはないの?」
クロさんがリンゴを手にしながら聞く
周平「もち、ある。プロっすから!
カズマ、どんなのみたい?」
カズ「………バックカントリー」
バックカントリーは整備されたスキー場じゃなくて
自然の雪山で滑るスタイル。
周平はパイプとかトリックとかも得意だけど
多分、バックカントリーが一番好きなんだと思う。
周平「今年の冬に撮ったやつ〜」
やっぱり、カナダの雪山は日本と違うなぁ…
バックカントリーはやっぱり迫力が凄い。
『ハーフパイプも、みたい』
ピューンと飛んでくるくる回るやつ。
何度見ても、見てるこっちがどきどきするほど
スノボーって高く飛ぶ
研磨くんの顔を覗くと
表情はそんなに変わらないけど
でも面白いって思って見てるのは伝わってくる
「ねぇ、穂波。ハワイで撮った穂波のフラは?」
ビデオが終わると研磨くんが言う。
え?この、タイミング?
ジャンルも勢い的なのも全然違うし…