第2章 芽生え
昼休み。
弁当を出してたら、廊下の方から声が聞こえた。
「穂波ちゃ〜ん、一緒に昼メシ食べよ〜!」
男子バスケ部の2年だ。
穂波さん知り合いなんだ。
楽しそうに喋ってる…
クロもこの2年生も、背も高いしコミュニケーションうまいよな。
穂波さんも…
…おれとは、違う。
弁当一緒に食べるのかな。
そんなことを思いながら、携帯のゲームアプリを開く。
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『研磨くん!ここ、いい?』
隣の席に、穂波さんがお弁当をもって来た。
「…え、…あ、うん。…いいよ」
『やった!』
穂波さんは前の席の椅子を引いてこっちに向けて座ると、
おれの机に弁当をおいて、広げはじめる。
「…バスケ部の人?…彼氏、とか…?」
『…へ? 違う違う、彼氏じゃないよ〜
バスケ部のマネージャーしませんか?ってお誘い』
弁当を食べながらながら話をする。
携帯は閉じておいた。
なんか一緒にご飯を食べてる時くらい、って…なんか、思った。
…変なの。
「…そっか。…マネージャー、するの?」
『ううん、放課後も朝も週末も、自分の予定があることも多いし、お断りした。
おもしろそうだけどね、スポーツする人のお手伝いをそばでできるなんて。
…バレー部には、マネージャーいるの?』
「…男子バレー部には、いない。…みんな、探してる。
…クロが、穂波さん誘おうとしてる…」
『ふふふ。研磨くんのいる部活は一層魅力的だなぁ〜。
ね、試合とか、見に行ったら嫌?』
「…別に。…いやじゃない、かな」
『わーい、また教えてね』
………教室の後ろのドアの方がざわざわしてる。
振り向いてみると、
虎、福永、クロ、夜久くん、海くんがこっちをみてる。
「………はぁ…」
「おい!研磨!いまこっち見てため息ついただろ」
「…………(ぷいっ」
『? …バレー部のみんな?』
「…うん。」
『行かなくて、いいの?』
「…うん、別に。呼ばれてないし」
『笑 じゃあご飯食べたら、だね。それまでは、わたしと一緒〜
ちゃんと、誘ったもんねっ』
そんなかわいいこと言いながら
穂波さんはおれの左手にそっと触れる。
また、あの、綺麗な動きで。
至極、自然に…