第6章 層
9時半にカズくんが家に来る。
カズくんの家は同じ駅にあって、
スケボーでくると10分くらい。
ちゃんと朝起きて、納豆とご飯を食べて、
宿題してくるんだろうなって思うと微笑ましい。
……大きくなっても、今みたいに懐いてくれてるといいなぁ。
そんな大人になれるように、日々精進だナァ…
インターホンがなる。
まだ9:10
でもカズくんだった。
『おはよう〜カズくん』
「…おはよ」
『何か飲む〜?』
「…オレンジジュース、ある?」
そう言ってソファに座って鞄からゲームを取り出す。
「ねぇ、穂波。今度海一緒に行こ」
『ん?もちろん。最近行ってる?』
「ぼちぼち」
オレンジジュースを渡しながらそんな会話をする。
研磨くんがいなくても、たまに研磨くんと話してる気分になる。
『朝もいいけど、夕方までいたいよねぇ。秋ってやっぱ夕陽綺麗』
「…ん」
『…ふふ。ねぇカズくん。毎週一緒にスケボーしてくれてありがとう』
「…なに、いきなり」
『充実するなぁと思って』
「………もう準備できてるの?」
『…あ。ちょっと待ってて』
部屋に戻って、靴下とウエストポーチを持って降りる。
カズくんの隣に座って靴下を履く。
『ゲーム進んだ?』
「…ん、まぁまぁ。研磨は?」
『ん?んー?よくわからないけどきっと進んでるよ』
「………研磨は休みないの?」
『あったりするよ〜 また会えるといいね』
「…ん」
本当、研磨くんには興味があるんだなぁ。
『お待たせっ。行こっか』
「ん」
今日は光が丘公園に行くことにしてた。
地下鉄の駅まで軽く流して行って、地下鉄に乗って。
地下鉄降りたらまた公園までスケボーに乗っていく。
スケボーとかBMXとかをしてる人たちの集まる広場があってそこで練習する。
わたしはあれからノーリーをしながら回転するやつを練習してる。
カズくんみたいなセンスはないから、
軽く流してそこに技を組み合わせるなんて、いつかできるのかな…
できる気がしない…と思いながら、一つずつトリックを習得してるとこ
「ちょっと穂波、おれあっち行ってくる」
そう言って指すのは10段くらいの階段。