第6章 層
ー穂波sideー
「おれも〇〇駅で降りよっかな…」
駅が近くなって研磨くんが呟く
『へ?何で?』
「少しでも穂波といたい…』
っくぅぅぅ〜かわいいっ。
突然のこういうの。
『…ん、嬉しい。わたしも一緒。…けど、駅出たらすぐ反対方向だから…笑』
「………だよね。………おれもスケボーしようかな…」
『…?』
「カズくんとか周平なら二駅くらいひゅんっと移動するんでしょ」
そして研磨くんの突然の馬鹿っぽい発言。
きゅん。
『…笑。 そうだね、ぴょんひゅんぴょんびゅんっ 笑』
「………」
『怪我しない程度に、って難しいけどプッシュ…って、蹴って乗るだけなら、怪我はしにくいかな。
でも、やっぱバレー部に研磨くん必要だから、とか、ほら、私もぐるぐるしてきた』
「…笑 穂波が唐突にいっぱい喋りだすの、面白い」
『………』
「…訂正。かわいい。…好き」
『………』
もう、ほんとずるい。
「もうすぐ着くね。おれは△△駅で降りることにする」
『…ん。また月曜日ね』
「ん。またね」
電車を見送ってから、階段を降りる。
お母さんの用意してくれた美味しいご飯を食べて、
お風呂に入る。
今日は研磨くんのいろんな感情を見れた気がする。
あまり大きく表情にでるわけじゃないけど、でも一緒にいるんだもん。
わかる。
苦しそうなのは胸がきゅっとするけど、
でも大事な感情だから、覆い隠す必要はないもんねって思う。
…部室で、すっごく、色っぽい顔をしてた。
切羽詰まったような顔。
気持ちいい顔。
思い出すと身体が熱くなってくる…
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「そうだ明日、周平家に来るって」
お風呂から上がるとお母さんに言われた。
『あ、そうなんだ。おじちゃんたちも?』
「うん、3人でくるってさ」
『わたし午前中、カズくんとスケボー行くけど。予定変更した方がいい?』
「カズマは穂波の彼氏みたいになってきたね」
『ふふ。まだパークデートはできないって嘆いてるよ。笑 求められてるレベルが高い…』
「昼前に来るって言ってたから、スケボー行って、カズマもそのまま連れてきたら?」
『…だね。明日声かけてみる』