第6章 層
「△○高校からスケボーで来たのかな」
『どうだろ、どこかの駅まで電車乗って、とかじゃないかな』
「△○高校とか…勉強できるんだね」
『…なんか昔からね、できちゃうみたい。たぶん学年でもトップの方だと思うよ。
研磨くんも入ろうと思えば入れそうだけど。音駒で会えてよかった♡』
「研磨ァ!」
クロの声がする。
周平が去ったのを見届けたのか、
玄関に集まってた生徒たちは散り散りになってるようだった。
「ごちそーさーん!」
…まただ、いつもこれを言う。
『周平は、親同士が仲良くて赤ちゃんの頃からよく一緒にいたらしいのね。
物心ついた時から記憶にも写真にも周平はいっぱいいる。
周平はスノーボードでスポンサーが早くからついて、それで中2の時にカナダに行ったの。
で、たぶん高校は今一年生として入ったんじゃないかな?歳は一個上だけど。
おじいちゃんと約束したみたいで、高校は日本で卒業するんだって。』
「…受験は?」
『海外入試やってるのかもね、帰ってきてないし。
周平ほんと頭いいから、たぶん書類も好感触だったのかも
……研磨くん、周平に興味ある?また家ででもゆっくり聞いてみよ?』
「…別に、興味あるわけじゃないけど」
でもちょっとおもしろい経歴だなって思う。
『ねぇ、研磨くん』
「ん?」
『もう誰もいないね、正面玄関』
「…うん」
穂波はおれの顔をじっと見つめて、
腕を肩に回す。
…ここで、か。
唇が触れる。
一度離し、目を見つめてきたかと思うと
もう一度、より強く口付ける
穂波の動きに応えて何度も唇を重ね…
穂波の舌がおれの唇に触れたから
そのまま口を軽く開くと口内に滑り込んでくる
腰に手を回し強く身体を引き寄せる。
舌を絡ませ、互いの気持ちを確かめ合うみたいな、深い深い口付け。
それ以上のことをもう経験してても、
何度でも気持ちいい。
穂波とのキス。
………どのくらい経ったんだろう。
「ちょっ、お前らっ」
横から夜久くんの声がする。
「ば、場所を考えろって。風呂じゃないんだから」