第6章 層
ー研磨sideー
「ほんと、穂波って分かり易い。から、残念ながら分かるわぁ〜 べた惚れ。
研磨、おとなしそうなのに色っぽいな!エグっ』
分かってるんならいいんだけど…
周平といいカズくんといい、スケーターって賢いの?
…括りがおかしいか
「ごめんごめん、もうお尻触ろうとしないからっ。
……あれっ違う?いや、俺怒られてるよね?」
洞察力もある。
いやなやつじゃなさそ…
だけど
「分かってるんならいいんだけど」
気付いたら思ったことは口に出てて、
穂波の腰に手を回し引き寄せる。
「おれの、だから。不用意に触らないでね」
『………研磨くん?』
「…ん?」
少し驚いた顔をしてこちらをみつめる穂波。
『………もっかい、言って?』
「…………おれの…」
言いかけたところで、唇を塞がれる。
首の後ろに手を添えて、力強く。
…………。
『研磨くん、大好き』
「…ん」
唇を離して、目を見つめながら言う。
…知ってるよ。昨日も聞いた。
…でも別に、何度でも聞くよ。
穂波の言葉にも行動にも嘘が、ないから。
「ちょっとぉ、俺そんな悪いことしたぁ?すっげ見せつけられてる」
周平が割って入る。
『…ふふ。学校どうするの?』
「おれも音駒にくればよかった〜」
『ほんとそれだよー』
「今日はこのまま穂波とどっか行こうと思ってたけど、無理そうだからなぁ〜」
「………」
「研磨、仲良くしような〜」
「…ん」
『…お母さんたちにも会いにくるでしょ?また、近々ゆっくり。
最近カズくんにスケボー教えてもらってるの』
「カズマ?おっちゃんから何回かビデオ送られてきたわ。
サーフィンもすげーよな。素質ある」
『やる気はほどほどだけど、それくらいがいいのかもしれない』
「やる気云々より、好きじゃなきゃスケボーなんてできないから、こっからもっと伸びんじゃね?」
『……確かに。そっか、好きなのか。好きなのはゲームだって思っちゃってた』
周平「ま、いいや、またね〜2人とも。カズマにも会いに行くわ。覚えてねーか」
そう言って颯爽と周平は去って行った。